あたらしい猿山の仕事「寒川義雄+猿山修 “series of ceramic works”」展|さる山
Design
2015年6月15日

あたらしい猿山の仕事「寒川義雄+猿山修 “series of ceramic works”」展|さる山

さる山

意外な組み合わせが生む、幸福な関係がここにある

「寒川義雄+猿山修 “series of ceramic works”」展開催

東京・元麻布に店を構える古道具屋・ギャラリー「さる山」と、栃木県下都賀郡にある「Gallery Yamamoto」にて、寒川義雄氏製作、猿山修氏デザイン、ギュメレイアウトスタジオ制作による器とシェードのシリーズを展示。さる山ではお披露目の展示を、Gallery Yamamotoでは寒川氏の個人作品もくわえた展覧会となる。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

猿山修による「あたらしい猿山の仕事」

開催にあたって寄せられた猿山氏のコメントを紹介したい。

「寒川さんと私の仕事をご存知の方には不思議な組み合わせと思われるかもしれません。これまでは、個人のつくり手であっても、職人としての仕事をされてきて量産にも対応出来るつくり手との共同作業がほとんどでした。いっぽう、寒川さんは、薪窯、灯油窯、ガス窯を使い分け、炎に寄り添う一点ものの器をつくっているからです。

このシリーズは、食器にランプシェードをくわえた九型を三種の陶土と釉薬(彼の作業場のある広島の土をつかった粉引と琵琶、修行の地である小石原土の漆黒)を組み合わせた27のヴァリエーションからなります。2年にわたり試作をつづけたどり着いたかたちをもとに、振れ幅の大きい彼らしい大らかな仕上りの一群がならびます。

あたらしい猿山の仕事をご覧いただけましたら幸いです」と話す。これまでのデザインプロジェクトとは一線を画す、作家と深く対峙しともに生み出したプロダクトであることを紹介した。

さる山|寒川義雄

さる山|寒川義雄

さる山|寒川義雄

意外な組み合わせが生む“小倉珈琲”の味

6月27日から展示をおこなわれる「Gallery Yamamoto」の山本千夏さんからも、この展覧会のおもしろさを紹介してもらった。

「世のなかには意外な組み合わせというものがある。出合ったときは軽いめまいがした。それはたしか、群馬県のとある喫茶店にあった、“小倉珈琲”という名前だったと思う。メニューに写真はなく、お店のひとに聞くしかない。

『小倉珈琲』ってと言いかけると、お店のひとが伝票に書こうとしたので急いでつづける『あっあの、小倉珈琲ってどういうものですか』。『珈琲ゼリーにあんこがのったものです』と教えてくれた。なぜ、あえて一緒にするのか。別々に食べればよいではないか。でも合わせるにはきっと理由があるにちがいない。怖いもの見たさで、つい頼んでしまった。

ひと口食べると、小倉の甘みと珈琲の苦みのバランスが絶妙で何ともおいしい。ありそうでなかった味。互いを引き立て合っている。これこそ相乗効果というものである。意外な組み合わせが生む、幸福な関係。つくり手とデザイナーの出合いもそんなふうであったらよいと思う」と山本さんは語る。

出合いによって生まれた意外な組み合わせと、試行錯誤によって磨かれた稀代の展示。ありそうでなかった幸福な関係が、見る者にもはじめての味わいをもたらす。

「寒川義雄+猿山修 “series of ceramic works”」展
開催場所|「さる山」「Gallery Yamamoto」で順次開催

さる山
開催期間|2015年6月21日(日)まで
営業時間|13:00~18:00
東京都港区元麻布3-12-46和光マンション101
Tel. 03-3401-5935
http://guillemets.net/
http://www.facebook.com/guillemets.layout.studio.saruyama

Gallery Yamamoto
開催期間|6月27日(土)~7月5日(日)
営業時間|11:00~17:00
栃木県下都賀郡野木町南赤塚786-2
Tel. 0280-56-2444
http://gyamamoto.exblog.jp/

           
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