松永麻衣子|パリところどころ 003 eau de Paris パリの水に変革が!

松永麻衣子|パリところどころ 003 eau de Paris パリの水に変革が!

chocolatmag編集長、松永麻衣子のパリ散歩

MATSUNAGA Maiko|松永麻衣子

パリところどころ 003 ジャルダン デ リュイリー

eau de Paris パリの水に変革が!

半年お休みしてしまいました。そのあいだに人生の軸ごとの大変化があったのは私だけではないでしょう。で、気になる物や事もちょこっとした変化がありました。ということで今回はパリの“水”のお話です。
生きていくために必要な物リストの上位の“水”は、どの時代でも確保しなくてはならないし、すべてのひとに行き渡らなくてはならない。ひとりひとりの小さな努力や“高い意識”をもって生活していくことで、もっともっと次世代が豊かに安全になっていくのではないかなー。

写真、文=松永麻衣子

イギリス人のリチャード・ヴァラスが1872年に巨額な財産をつぎ込み、パリのいたるところに飲用に適した噴水を50カ所設置しました。いろいろなモデルがあるのですが、そのなかで有名なのがヴァラス自身がデザインしたルネッサンスの4体の彫像。それぞれに「善意」「節酒」「純朴」「慈善」を表している4体の真ん中から水が落ちてくる仕組み。当時のパリ市民たちはプロシアとの戦いで敗れ、水の配給もままならなかった。そんななかでのヴァラスの行動は、いまもなお語り継がれFontaine Wallace(ヴァラスの泉)として親しまれているのです。

パリでは水を買うことはごく普通のことです。スーパー・マルシェに行くと、その種類の多さにビックリします。そして、みんな1.5リットルの水をせっせと買って帰るのでとても大変。そのぶんゴミも出ます。そのため、パリ市は水道水への関心を高めるためにこんなwebサイト http://www.eaudeparis.fr をつくり、いろいろな呼びかけをしています。たとえば『私たちの水は安いのではなく、100倍安いのだ!』『ペットボトルのリサイクルはいいよね。でも使わないのはもっといいよね!』。これらは水道水キャンペーンのコピー。エコはブームではなく、次世代のための未来確保のためというしっかりとした軸があります。そして、パリの水道水を浄水器にかけてお料理や飲料水として飲む、ろ過器を使う、そんな発想もBURITA(一番一般的なろ過器)のおかげで定着しつつあります。

パリところどころ 003 01

話は変わって、カフェやレストランでミネラルウォーターを注文するとEAU PLATE(普通のミネラルウォーター)かEAU PÉTILLANTE(スパークリングウォーター)か尋ねられますよね? フランス人はとくに食事のときにEAU PÉTILLANTEを好んで飲みます。こればっかりは水道からは出てこない。パリ市は考えました。もっとペットボトルのゴミを減らすためには? みんなが大好きなEAU PÉTILLANTEがFONTANE(パリ中に800カ所ある水飲み場の通称)から汲めるようにしたらどうか? そこで、去年の9月に、イタリアではもう定着している炭酸ガス注入装置を使った水飲み場1号機が12区のJardin de Reuilly(ジャルダン デ リュイリー)に設置されたのです。これが今回の本題。

Jardin de Reuilly──1995年にオープンしたこの庭園は、広々とした芝生、季節ごとに咲く花が植えられた花壇、遊具のある子どもスペース、バスケットコート、広々とした芝生を横断する吊り橋、横には市民プールと体育館もあり、この季節はちょっとした人気スポットになっています。そのはずれに小さな小屋があり、ここが水飲み場になっています。冷却装置と炭酸ガス注入装置によって、冷たい水、冷たいガス入り水、普通の水の3種類。清潔さを保つためのステンレス製のシンクのボタンを押すと、上から水が出てくる仕組みです。「紙コップがあればいいのに」などの声が聞こえてきますが、いえいえそれでは本末転倒。つぎからは水筒を持ってきてくださいね。

ABOUT
MATSUNAGA Maiko

1965年鎌倉生まれ。高校3年生からインターナショナル・ギャラリー・ビームス/Ray BAEMSでアルバイトをはじめる。松任谷由実さんと出会い逗子マリーナでのコンサートのバックコーラスをする。大学在学中マガジンハウスポパ …