MATSUNAGA Manabu|Vol.4 ジャン・コクトーの庭

MATSUNAGA Manabu|Vol.4 ジャン・コクトーの庭

carnet de jardin タイムカプセルの庭へ

MATSUNAGA Manabu|松永 学

Vol.4 ジャン・コクトーの庭

「私はあなたたちとともに」──芸術家が眠る幻想の庭

今回はフランスのメゾン=ラフィット出身のフランスの芸術家 ジャン・コクトー(Jean Cocteau、1889年生まれ-1963年没)の庭。詩人、作家、劇作家、評論家、画家、映画監督、脚本家としてマルチに活躍した。この庭はフランス、パリから約70km南のミィ・ラ・フォレ(Milly-la-Forêt)村にある。ジャン・コクトーはここにある礼拝堂の土の下に眠っている。

写真・文=松永 学

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ジャン・コクトーは生涯、常に芸術の最先端に身を置き1945年にミィ・ラ・フォレに住み着いた。1959年にはこの村のSaint-Blaise-des-Simples礼拝堂のフレスコ画を制作。庭にはハーブ類が豊かに茂っている。

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麦畑に囲まれた小さな街の閑静な住宅地にある、すごく小さな礼拝堂の壁に描かれているのは、1匹の猫と花を抱え天井までにも伸びたハーブ類。ここにジャン・コクトーは眠っている。墓碑銘には「Je reste avec vous.(私はあなたたちとともに)」と彼の言葉が掘られている。

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マルチアーティストであったが、自身は詩人と呼ばれることを好んだという。

早熟の天才ラディゲが夭逝した時、そのショックで以後10年も阿片に溺れた。友人のエディット・ピアフが天に召されたことを知らされ、その4時間後に病床で自身も天に昇った。

墓碑銘の言葉が意味することはなんだろう。そんなことに考えを巡らせた。

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小さなステンドグラスからは、虹のような光が木々の隙間からこぼれ落ちる。かぎりなく色を抑えた押し花のような装飾が、薄暗い空間に浮き上がってくる。外で輝いているハーブの庭が夢の中で封印されたごとく……。麻薬的な花のデッサンは、じつにエロチックだ。ここはハーブの聖地なのだろうか? ここから種がいまにもどこかへ飛んで行きそうだ。薬草の薫りに包まれながら、そんなことを思う。いつのまにか、幻想の世界の住人になっている自分に気づく。

Saint-Blaise-des-Simples礼拝堂サイト
http://chapelle-saint-blaise.org/index.htm

maison Jean Cocteauサイト
http://www.jeancocteau.net/maison_home_fr.php

ABOUT
MATSUNAGA Manabu

写真家。北海道根室市生まれ。父の影響で小学生から写真をはじめる。暗室デビューも同時期。高校卒業後上京。日本大学芸術学部写真学科卒。学生時代はアルバイトに明け暮れる。アングラアマチュア音楽バンドで、舞台演出写真スライドショー&キーボードを担当。欲しいレコードを買うために、マニアックなレコード店が多かった新宿駅界隈が庭となる。日本デザインセンター入社後、2年間で退社。フリーフォトグラファーになる。その後フランス・パリに移住。雑誌を中心にルポルタージュやポートレイトなどで幅広く活躍。昨年2009年12月より、『carnet de voyages』というタイトルで旅をテーマとしたweb写真集を発表している。iPhone+iPad+iPodTouch用アプリ(PhotoHorloge)でも展開中! パリ発『webマガジン chocolatmag』ではビジュアルを担当。コラム内”chocolat papa356J”で毎日更新の写真コラムもはじめる。叔父はジェイムス・ジョイスの翻訳で有名な、日本の英文学者・翻訳家である柳瀬尚紀氏。 オフィシャルサイト http://www.manabu-matsunaga.com/ carnet de voyages http://www.manabu-matsunaga.com/voyages/