松浦俊夫｜from TOKYO MOON 2月20日 ON AIR アカデミー賞直前、最有力候補作品『英国王のスピーチ』をピックアップ！

松浦俊夫｜from TOKYO MOON 2月20日 ON AIR

アカデミー賞直前、最有力候補作品と世界中から届いた話題の楽曲

日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、大人たちの至福のとき。そんな豊かな時間をお届けするのは、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激する大人のためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて19時からオンエア。ここでは、毎週オンエアされたばかりのプログラムをお届けします。今週は、リリースラッシュに沸く世界の音楽シーンから、話題の新作をセレクト。また、目前に迫ったアカデミー賞発表を前に、注目作『英国王のスピーチ』を紹介しました。

Text by MATSUURA Toshio

リリースラッシュに沸くミュージックシーンから注目曲をピックアップ

Gil Scott-Heron & Jamie xx

Wagon Christ

Shawn Lee's Ping Pong Orchestra

寒さも少し和らぎ、日差しも心地よくなって、外出するのが楽しくなってきた今日このごろ。音楽業界も春に向けてリリースラッシュがはじまりました。今回はニューヨークの伝説の詩人 GIl Scott-Heron（ギル・スコット・ヘロン）と、そのオリジナルなサウンドで注目を集めるロンドンのインディーポップグループ The xx（ザ・エックス・エックス）のメンバー Jamie xx（ジェイミー・エックス・エックス）との異色のコラボーレーション作品や、“ビートの魔術師”の異名をもつイギリスのWagon Christ（ワゴン・クライスト）の心地よいジャズファンク、そしてアメリカ西海岸の鬼才 Shawn Lee（ショーン・リー）の高速ワールドファンクまで、話題の新作ばかりを紹介しました。

wildcookie

The Natural Yogurt Band

Cartagena

REVIEW｜TRACK LIST
01. Wagon Christ / Introfunktion (Ninja Tune / Beat)
02. Diddy-Dirty Money / Someone To Love Me (Universal)
03. Gil Scott-Heron & Jamie xx / Home (XL / Young Turks / Hostess)
04. Alexandre Desplat / The King's Speech (Decca)
05. Terry Davies / The Logue Method (Mozart: The Marriage of Figaro / Clarinet Concerto mvt 1) (Decca)
06. Freddie Cruger & Anthony Mills Are Wildcookie / Serious Drug (Tru Thoughts)
07. Orlando Fortich y Su Orquesta / Yolanda (Soundway)
08. The Natural Yogurt Band / Eastern Promise (Now Again)
09. Shawn Lee's Ping Pong Orchestra / Accelerate (Ubiquity)

これぞ大人が楽しめる映画──『英国王のスピーチ』

イギリス・エリザベス女王の父ジョージ6世は、吃音症（きつおんしょう）というどもったり、言葉が途切れたりして円滑に喋ることができない言語障害のような病気を抱えていた。父であり国王でもあるジョージ5世の死と、長男である兄が王室から去ったことを受け、いやおうなしに王にならなくてはいけなくなってしまったジョージが、オーストラリア人の言語聴覚士ライオネル・ローグとの交流をとおしてその病を徐々に克服してしていくストーリー。

過度に話を大きく広げず、ジョージと家族、そして言語聴覚士との関係に絞り込んで描き、最小限の音楽と演出に、まるで自分がその場にいるかのように映画に引き込まれていきました。ジョージを演じるコリン・ファースと言語聴覚士役のジェフリー・ラッシュのみごとなかけ合いにはアカデミー賞主演と助演男優賞のダブル受賞を予感させます。とくにコリンは『シングルマン』につづき2年連続の主演男優賞候補ゆえ、おおいに期待がかかります。ほかに作品賞、監督賞、脚本賞、助演女優賞など、最多12部門にノミネートされており、日本時間の28日に開催される授賞式が楽しみです。笑いあり涙あり、これぞ大人が楽しめる映画です。ぜひ劇場に足を運んで観ていただきたいと思います。