Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツ CL 63 AMG 試乗
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2015年3月20日

Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツ CL 63 AMG 試乗

Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツCL 63 AMG

頂点に位置するラグジュアリークーペの性能(1)

ダウンサイジング化とともに高性能化した新エンジンを搭載する、メルセデス・ベンツCL 63 AMG。環境性能と動力性能を両立させたラグジュアリークーペの試乗インプレッションをお送りする。

文=小川フミオ写真=佐藤正勝

新開発の5.5リッターV型8気筒エンジン

メルセデスCLは2006年11月に日本で発売開始されたラグジュリアスな2ドアクーペ。クラス的にはSクラスを志向するが、よりパーソナルなクルマを求めるユーザーから好評を博してきた。2010年11月に外観をはじめ、各部に変更を受けた。最大の眼目ともいえるのが、パワープラント(エンジン)。今回、排気量を小さくしつつ、過給機によってパワーを向上させている。

とくに注目してほしいのが、今回試乗したハイパフォーマンスモデル、CL 63 AMG(2,275万円)だ。CLをベースに足まわりもパワープラントもスポーティな仕様を組み込んで、スポーティさとラグジュアリーの両立をはかったモデル。OPENERSの読者には、イチオシの一台だ。

Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツ CL 63 AMG 試乗|02

Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツ CL 63 AMG 試乗|03

力強く、かつなめらかなエンジン

CL 63 AMGに搭載されるのは、新開発の5.5リッターV型8気筒エンジン。燃料直接噴射システムとともに、2基のターボチャージャーを備えている。そのため、従来の6.3リッターユニットに対して、最高出力でプラス19psの544ps、最大トルクでプラス100Nmの800Nmを実現している。AMGパフォーマンスパッケージを選ぶと、さらに最高出力は577psに上がり、最大トルクは900Nmにまで増す。アイドリングストップ機構と多段化してギア比を上げた7段オートマチックトランスミッションが採用されることで、燃費は従来モデルの半分に。CO2排出量も大きく減っているという。

このエンジン、燃費も大事だが、運転すると驚くほどトルキー。2,000rpmから800Nmもの最大トルクが出る設定なので、アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、氷の上をすべるようになめらかな加速をする。感心するのは暴力的なトルクの出かたではないということだ。このクルマの性格上、あくまでもスムーズネスに重きを置いている。

Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツCL 63 AMG

頂点に位置するラグジュアリークーペの性能(2)

存在を輝かせる「静」から「動」へのスムーズな移行

スムーズさは、ハンドリングにも如実にあらわれている。切りはじめたときに車体は即座に反応してノーズの向きを変える、いわゆるターンインにかったるさはないが、その一方でメルセデス車に特有の弱めに設定されたセルフアライニングトルクというキャラクターも守られている。つまりドライバーは意図してハンドルを中立位置まで切りもどす必要がある。結果、スポーティ、それでいて、メルセデス的。トルキーなエンジンとしっかりした足まわりという、メルセデス車の特徴がより強く前面に押し出されている印象だ。

AMGは優美に乗れるというCLのキャラクターをしっかり押さえたうえで、より強い楽しさを操縦性につけくわえている。運転席に座ってエンジンに火を入れ、アクセルペダルを踏み込んだときから、エンジン回転が上昇し、速度があがっていくにつれて、スポーティな個性が顔を出すようになる。いわば「静」から「動」への移行がじつにスムーズ。このうれしくなるような二面性ゆえ、存在が輝く。もしお金に余裕があれば、CLでもAMG仕様を選んだほうがいいだろう。

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よりドライブを楽しむための、高級車の定石ともいえる機能

最近のメルセデス車は、クラスごとに品質感が明確にわけられている。つまりAクラスよりBクラスのインテリアのほうが上質に感じられ、それよりCクラス……と、いわゆる上のクラスにいくほど素材など雰囲気が上質になる。CLは頂点に立つモデルだけに、木目が美しいウッドパネルと、ポリッシュされたクロームパーツ、それにレザーシートが目にもまぶしいばかり。整然と配列されたコントロール類とともに、清潔感の強いデザインを好む日本のドライバーにとって居心地がよい空間をつくり出している。

CLにはハンドルを切る量、いわゆる操舵角によってステアリング速度が変わるダイレクトステアリングや、コーナリング時にブレーキを制御して挙動を安定させるトルクベクトリングブレーキも備える。電子制御を有効に使って操縦安定性を高めるという、いまの高級車の定石が用意されている。

2ドアで前席重視のデザインをされたクーペはパーソナル性が強く、運転を楽しむためにクルマを買うひとたちには好ましい存在だ。CLではそこに長距離ドライブでも疲労を最低限に抑える高い操縦性や、品質感の高い部品によるラグジュアリー性が備わる。個人的には、かなり買いの1台だと思う。

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Mercedes-Benz CL 63 AMG|メルセデス・ベンツCL 63 AMG
ボディ|全長5,110×全幅1,870×全高1,420mm
ホイールベース|2,955mm
車両重量|2,150kg
エンジン|5.5リッター V型8気筒+ツインターボチャージャー
最高出力|400kW(544ps)/5,250-5,750rpm
最大トルク|800Nm/2,000-4,500rpm
駆動方式|RWD
トランスミッション|7段AT
燃費|8.3km/ℓ
CO2排出量|244g/km
価格|2,275万円
※CO2排出量は欧州データに基づく。

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