My Own Watch|谷尻誠さんが愛用する腕時計とは

My Own Watch|谷尻誠さんが愛用する腕時計とは

あなたの腕時計、見せてください

第4回|谷尻誠×WIRED

ライフスタイルを邪魔しない、自分らしい時計とのつきあい方

時代を先駆ける個性的なデザインで、建築の新たな世界を切り拓く谷尻誠氏。世界中で活躍を果たす谷尻氏の腕には、施主から贈られたという思い出の電波時計がはめられていた。

Text by OPENERSPhoto by JAMANDFIX

ひとと会うとき、時計はあえて外す

男性にとって時計はよく、自分を表現するためのファッションアイテムのひとつと捉えられることが多い。しかし谷尻氏にとって、時計は決して自分を表現するためのものではない。むしろひとと会うときには、あえて外してしまうこともあるという。

「時間は、つけないことが多いですね。時計をつけていると、つい時計を見るふるまいをしてしまいます。ですから打合せをしているときなどは、相手に“時間を気にしているのか?”と、気を使わせてしまうのがとても残念なので、あえて外すようにしているんですよ」

とはいえ、待ち合わせの時間を確認するためにも、時計はやはり必要。そんな忙しい日々のスケジュールを整える役目を果たしてくれるのが、施主から贈られたセイコーウオッチの「WIRED」だ。

「2年半前くらいに、僕が設計をさせていただいた別荘のお施主さんにいただいたものです。せっかくいただいたので、着けようと思って。電波時計なので、時間が狂わないところが気に入っています。僕、時間にルーズなので、狂わないと安心感がありますよね(笑)。それとこの時計は海外の時間にも対応してくれるので、とても助かっています」

フランスやイギリス、オーストラリア、そして中国、シンガポール、メキシコ……。世界中で活躍する谷尻氏がこれまでに訪問した国は、数知れない。そんなとき日本時間もわかるこの時計は、大いに役立ってくれた。いまはあまり時計を身に着けない谷尻氏。しかし、かつては時計収集に興味をもった時期もあったという。

My Own Watch 第4回|谷尻誠 03
My Own Watch 第4回|谷尻誠 04

建築デザインに重ねられる時計の選び方

「若いころは無理をして、ロレックスとティファニーのダブルネームを購入したこともありますが、貧乏で友人にゆずってしまいました(笑)。いまは後悔していますが……。ほかに持っているのは、Lipの時計ですね。非常にシンプルなデザインに目を奪われて、購入した覚えがあります。もしあたらしく時計を買うとしたら、やはりシンプルなデザインのものを選ぶと思います。最低限の機能をどう使うか、自分で使い方を考えるのが好きなのかもしれませんね。それは建築という仕事をするうえでも同様です。設備や材料に依存しすぎないで、建築のデザインで機能や環境に答えをだしていく――そんな気持ちと近いものなのかもしれません」

谷尻氏の製作スタイルをも伝えてくれる、未来の時計選び。そんな谷尻氏に、もし自分で時計をデザインするとしたらどんなものを考えるかを尋ねてみた。

「針のない時計です。本来時間というものは見るものよりは、感じるものなのではないかと、僕は思っています。太陽や月が一日の移り変わりを知らせてくれるような、そんな“うつろいのある時計”を考えてみたいものです」

My Own Watch 第4回|谷尻誠 02

谷尻誠|TANIJIRI Makoto
1974年広島生まれ。2000年に独立、建築設計事務所「Suppose design office」設立。住宅を中心に先鋭的な建築をつぎつぎと手がけ、「住まいの環境デザインアワード」をはじめ数々の賞を受賞している。いっぽうで、ミラノサローネで大規模なインスタレーションを手がけるなど、幅広い分野でクリエイティビティ溢れるデザインが高く評価されている。