MOVIE|巨匠たちの証言で織り成す日本建築史のドキュメンタリー『だれも知らない建築のはなし』
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2015年5月20日

MOVIE|巨匠たちの証言で織り成す日本建築史のドキュメンタリー『だれも知らない建築のはなし』

MOVIE|建築界の巨匠たちの証言で織り成す日本建築史の舞台裏

ドキュメンタリー『だれも知らない建築のはなし』

安藤忠雄や磯崎新、伊東豊雄、レム・コールハースといった建築界の重要人物たちが出演し、高度経済成長から現在にいたる日本の建築について、本人たちのインタビューによりつまびらかにする『だれも知らない建築のはなし』。5月23日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開される。

Text by YANAKA Tomomi

異色の経歴をもつ石山友美監督による初の長編ドキュメンタリー

昨年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で上映され、大きな反響を巻き起こした石山友美監督の『Inside Architecture- A Challenge to Japanese society』。今回、あらたに追加撮影をおこない『だれも知らない建築のはなし』として劇場公開される。

石山監督は日本女子大学家政学部住居学科を卒業後、ニューヨーク市立大学大学院都市デザイン学科修士課程を修了。在米中に大学でジョアン・コプチェックの「都市と映画」をテーマにした講義を受けたことをきっかけに映画製作に興味をもつようになり、帰国後は沖島勲監督に師事。沖島監督の『怒る西行』(2009年)に出演するなどユニークな経歴をもつ。

そんな石山監督にとって、ドキュメンタリーとしては初の長編となる本作。建築界の巨人たちの神話的なエピソードをあがめることは一切せず、いまの問題意識から建築家の存在意義を問いかけるものとなった。

『だれも知らない建築のはなし』

『だれも知らない建築のはなし』

『だれも知らない建築のはなし』

伝説の会議から30年。いま、彼らの夢と挫折の歴史がつまびらかにされる

1982年、アメリカ・シャーロッツビル。当時、世界を代表する超一流建築家が一同に会し、建築の未来を議論する伝説的な国際会議「P3会議」が開かれた。日本からは磯崎新が無名のふたりの若手を伴って参加。それは、後に世界的な建築家へと成長する安藤忠雄と伊東豊雄だった。

そして30年後。建築家たちがはじめて当時を振り返る取材に応じる。数かずの証言が織り成す日本建築史の舞台裏。高度に資本主義化した社会で、何をどう生み出すのかという彼らの夢と挫折の歴史。インタビューでは、バブル経済がもたらした功罪や公共建築のあるべき姿までもが問い直されていく。

高度経済成長から現在にいたる日本において、建築家たちはどのような夢をみて、どのように社会とかかわりながら何をつくりだしてきたのか。巨匠たちのインタビューで構成される本作は、私たちの知らない建築の歴史をひもとき、未来の建築のありかたを考えていく。

『だれも知らない建築のはなし』
5月23日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督|石山友美
出演|安藤忠雄、磯崎新、伊東豊雄、レム・コールハース、ピーター・アイゼマン・チャールズ・ジェンクス
配給|P(h)ony Pictures
2015年/日本/73分/原題『Inside Architecture - A Challenge to Japanese Society』
http://ia-document.com

© Tomomi Ishiyama

           
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