島田 明|Life is Edit. #025 華知ある女性~女優・池上季実子とモデル・アンジェラの本音トークに感化された夜
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2015年4月27日

島田 明|Life is Edit. #025 華知ある女性~女優・池上季実子とモデル・アンジェラの本音トークに感化された夜

島田 明|Life is Edit.

#025 華知ある女性
~女優・池上季実子とモデル・アンジェラの本音トークに感化された夜

ひとりのヒトとの出会いによって紡がれ、生まれるあたらしい“なにか”。
ひとつのモノによって惹きつけられ、生まれるあたらしい“なにか”。
編集者とは、まさにそんな“出会い”をつくるのが仕事。
そして人生とは、まさに編集そのもの。
──編集者、島田 明が、出会ったヒトやモノ、コトの感動を紹介します。

文=島田 明

今回は25回のわたしの連載のなかで、初の女性のお話。

映画『陽暉楼』で日本アカデミー賞 主演女優賞を獲得し、数々の映画、ドラマ、舞台で活躍する大女優、池上季実子さん(季実姉さん、と呼ばせていただいてます汗)。そしてモデルだけでなく、最近は映画にも出演したアンジェラ、一挙、おふたり、しかも絶世の美女の登場です。

~きっかけはモンゴル800の清作くんとその仲間

季実姉さんとは、いまから3年ほど前、よく遊んでいた友人の土橋君と、その仲間のモンゴル800の清作くんたちとワイワイやっていたころに知り合いました。当然、出会ったときからオーラが尋常ではありませんでしたが、ご本人はじつにフランク&おおらか。そして不肖わたくしめにも、イロイロと気を配っていただきました。

飲めないお酒、歌えないカラオケの席でも、しっかりチェックされていて、最後の〆の段階で、「そうだ、今日はまだ島田君の歌、聞いてないなあ~」とオーダーが入り(笑)、最後にお酒を一口&一曲、と(笑)。ほんと、周囲をよく見ていらっしゃる。これも女優業のなせる技、なのでしょうか? そして、なにより印象的だったのは、はじめて季実姉さんを僕のクルマに乗せたときのこと。開口一番、季実姉さんは、こう呟いたのでした。

「このクルマ、レザーシートとシガーの匂いがブレンドして、なんていい薫りがするんでしょう」。

島田明|池上季実子 02

季実姉さんの“姉さん”、と言われるゆえんは、聞き上手であること、そして懐の広さにあります。だから、みんな安心しちゃう(僕も)。

僕自身が一番こだわっていたポイントをしっかり突いてくる、その審眼美の高さに、僕は驚き、そして喜んだものでした。わかるひとはわかってくれる、それがただただうれしかった。

その出来事以来、“ちがいのわかる大人のいい女”、季実姉さんは、僕のなかでは、そんな存在です。

~お兄ちゃんのEWANの妹として

アンジェラといえば、僕のよき弟分であるEWANの妹、という位置づけでした。EWANの事務所に遊びに行けば、かいがいしくEWANの手伝いをしている、そんな印象で、当然、モデルとしての活躍ぶりは知っていましたが、あまりに近すぎて(笑)。

島田明|池上季実子 03

表現者としての先輩をしっかりと立てながら、自分の意見をしっかり言えるのは、やはり自己を確立しているアンジェラだからこそ。

そんなアンジェラとはじめて仕事をしました。それが、僕がディレクションを手がけるヴァルカナイズの小雑誌『VULCANIZE MAGAZINE』でのファッション撮影です。英国製品を取り揃える店、ヴァルカナイズに合うモデルとしてイロイロと考えていたところ、灯台下暗し、そうだ英国をルーツにもつアンジェラがいたじゃないか! ということで直接口説き(笑)、見事、出演と相成ったわけです。その模様はヴァーチャル・ヴァルカナイズでもご覧いただけますので、ぜひチェックしていただければな、と。
http://shop.vulcanize-lon.com/pc/magazine/index.cgi

アンジェラは、まだ若いのに、とってもクレバーで、とってもクール。そしてひとに優しくて、情に熱い。ひとことでいえば“じつにいい奴”です。仕事の話やプライベートの話、なんでも相談できる、とっても貴重な友人のひとりです。

そんな彼女が、演じること、そして女優を目指すことにかんして、僕に相談をもちかけてきたのですが、演じることについては、ちょっとぼくは門外漢なので(汗)、ああ、そうだ、こういう話は季実姉さんに相談するのが一番だ、ということで、夢の2ショットが実現したのでした。

~情熱をもって、コツコツとやることの意義

ふたりを知る僕は、最初からこのふたりは、きっと合うな、と思っていました。なぜなら仕事に対する誠実な向き合い方や、ひとに対する気配りの仕方が非常に似ていたからです。

僕の予想はバッチリ当たり、ふたりは仕事からプライベートから、のっけから深く話が進みあっという間に時間は過ぎていきました。

僕も交えて、その多くの話題に登ったこと。それは、いま表現者の危機だ、ということです。

編集者でも、モデルでも、女優でも、なにかを演じ、なにかを表現することは、なにかを生み出そうとする強く熱い想いが大事。でも、その熱さが、皆、足りてないのではないか? そういう熱が昔に比べて現場に少なくなってきている、それは3人の共通の悩みでした。

でも諦めてはいけない。どんな小さなことでもコツコツと自分から発信していけば、「雨だれ、石をうがつ」のことわざじゃないけれど、きっと風穴を開けることができる。

そんなことを3人で確認し合いながら、夜は更けていきました……。

季実姉さんとアンジェラ。彼女たちのような表現者、同志がいるだけで、僕は勇気づけられます。編集者として、ひととして。そして僕は更に前に進まなければ、そう思い誓った、じつに有意義な夜なのでした。

           
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