島田 明|Life is Edit. #024 小山薫堂さんと、不思議な巡り合わせ

島田 明|Life is Edit. #024 小山薫堂さんと、不思議な巡り合わせ

~出会いは楽し~

島田 明|Life is Edit.

#024小山薫堂さんと、不思議な巡り合わせ

ひとりのヒトとの出会いによって紡がれ、生まれるあたらしい“なにか”。
ひとつのモノによって惹きつけられ、生まれるあたらしい“なにか”。
編集者とは、まさにそんな“出会い”をつくるのが仕事。
そして人生とは、まさに編集そのもの。
──編集者、島田 明が、出会ったヒトやモノ、コトの感動を紹介します。

文=島田 明

多くのひとの出合いに恵まれる編集者という仕事ですが、ときに仕事を越えての話のなかで、偶然ではない不思議な縁を感じることがあります。最近、そんな出合いに再び恵まれました。放送作家であり、映画『おくりびと』の脚本家として知られる小山薫堂さんが、そのひとです。今回は、旅を通じて見つかった縁とこれからの夢の話を。

~はなしの発端は、フィレンツェ移動の車中

7月18日から恒例ミラノコレクションへの出張に合わせ、今回はスペシャルなプロジェクトがありました。それは小山薫堂さんをブルガリのフィレンツェ工場とミラノでの香水発表会にお連れし、道中、薫堂さんが感じたことを、わたしがレポートするといった内容。その詳細は『UOMO』11月号(9月24日発売)にてご一読ください。

前日、ミラノ入りして朝早く車で移動してのフィレンツェ入り。
お疲れとは思いきや「僕、一日3時間しか寝ないんです」
の言葉に驚愕。まさに鉄人放送作家です。

フィレンツェからミラノまでクルマで移動する車中、じつにいろいろな四方山話を薫堂さんとしました。歳がひとつしかちがわない、といったおなじ時代を(とくにバブル!)過ごしてきたことからも共通の話題は多岐にわたり、また薫堂さんの博識ぶりから話は尽きることなくつづきました。そんななか、薫堂さん自身で昔やっていた、あるブランドの話に行き着きました。

そのブランドとは「バナナトリップ」です。聞けば、昔、薫堂さんがテレビ番組『11PM』の放送作家をしていたころ、フリーアナウンサーである吉田照美さんと親しくなり、ふたりでお金儲けをしよう、と画策、結果、洋服をつくることを思いついたそうです。

「ピンクドラゴン」のデザイナーに服を依頼し、原宿の竹下通りに店をオープン。当時、照美さんはアノ伝説的テレビ番組『夕焼けニャンニャン』の司会をしていて、番組を通じて爆発的に流行った「セーラーズ」に対抗すべく、その「バナナトリップ」を照美さんが番組中衣装として着つづけ販促活動も怠りなくおこないました。しかし結果は大惨敗。薫堂さんは店番をしながら作家活動をつづけていましたが10ヵ月であえなく店は閉店、大量の在庫が残ったそうです。

そんな失敗談をわたしにおもしろおかしく話してくれました。そして、薫堂さんは、わたしにこう切り出したんです「島田さん、そのブランド、どうにか復活させられないですかね?」

~nineSixty 加藤博照クンの「グリーンバナナ」

そう薫堂さんから言われて、ぱっと思いついたのが加藤クンのことでした。

ここOPENERSでも連載している彼のこと、そして彼のジュエリーブランド、「nineSixty」のことは、OPENERSの彼の連載ページを覗いていただければ、よりおわかりいただけると思います。

弟分でもある彼が2年前に仲間と立ち上げたのが「グリーンバナナ」というゴルフブランドでした。すでに伊勢丹新宿店に扱われていたり、多くの雑誌に取り上げられていたり、と目下注目のブランドです。その名前にある「バナナ」、そう薫堂さんの「バナナトリップ」とは「バナナつながりだぞ!」とわたし(笑)。

薫堂さんいわく「それっ、おもしろいじゃないですか!」と。お互い、まったくのノリです(笑)。

加藤クンは偶然にも、わたしたちがイタリアに滞在しているあいだ、ファッションの合同展示会「WHITE」に出店していてミラノにいるとのこと。ならばミラノでふたりを合わせようと思ったわたしは、翌々日に予定されていたブルガリホテルでのモデル撮影に加藤クンに来てもらうようにお願いし、ちゃっかり当日、わたしのアシスタントとして手伝ってもらうことにしました。

結果、ニアミスでふたりは会えませんでしたが、東京に戻り早速セッティング。めでたく薫堂さんの事務所でご対面とあいなりました。

そこでも、また数奇な巡り合わせを感じたのです。

~じつは加藤クンの後輩の仕業でした(笑)

今後、どうやっていくかの初ミーティングは、薫堂さんの「好きにやってください。プロにお任せしますから」の言葉に当初緊張気味だった加藤クンも「グリーンバナナ」の田村クンもひと安心、話は自然、加藤クンのやんちゃだった渋谷時代の話に移っていきました。

右から加藤クン、田村クン、吉田照美さんの息子さん、そして
薫堂さん。後で聞いたら、この事務所、知り合いのジョージーズ
ファニチャーの創業者のひとり、ジョージさん作だとか。
これも縁というか奇遇というか。

じつは薫堂さん、かつて手がけた番組『進め!電波少年』のなかで、出演者の松村邦洋さんと吉田照美さんを渋谷のチーマーに説教させに行く、という企画を立てたそうです。実際番組中、ふたりに渋谷のセンター街に行かせたところ、本物のチーマーにボコボコにされた、という話を笑いながら話す薫堂さんに、すかさず加藤クン、「薫堂さん、それってぼくの後輩がボコボコにしたんです。すみませんでした!」と。

それを聞いて大笑いの薫堂さんが即切り返します。「加藤さん、じつはね、今日、そのボコボコになった照美さんの息子さんがいるんですよ(笑)!」。照美さんの息子さんは、現在、薫堂さんの事務所で研修しているそうなのです。その息子さんに会うなり、加藤クン「その節は、お父さまをボコボコにしてすみませんでした!」と平謝り。一同大爆笑でした。

そんな感じでスタートした「バナナトリップ」と「グリーンバナナ」のスペシャルなコラボレーション企画。

薫堂さんの放送作家としての積み上げてきたことば

~企画とは喜ぶひとの顔を想像できるか。企画とは楽しくなる方法を考えること~

を想えば、この企画、きっと成功するに違いありません。
来年の春のデビューに向け、こうご期待です!

ABOUT
SHIMADA Akira

1963年東京中野生まれ。 雑誌『メンズクラブ』『ドルソ』『ジェントリー』から、 雑誌『レオン』の編集長代理、ファッションディレクター、 『エスクァイア日本版』のファッションディレクター、『UOMO』のエディターを経て、 …